2025年12月27日更新
今まで中国については、なるべく取り上げないようにしていました。
その理由は、あまりにも不明瞭な情報が多く明確に断言できなかったからです。だから今回の情報は、私の憶測も含めて不正確な情報として捉えて下さい。
それでは、前回ブログの続きとして中国の国家債務について検証してみましょう。
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中国の国家債務総額はいくらなのか
中国人民銀行総裁であった易綱氏は、2023年3月に開催された中国発展ハイレベルフォーラムで中国の負債はGDP比80%圏内に収まっている。他の主要国と比べればかなり健全な国家財政だと発言しました。
しかし、この発言には地方政府の融資平台(LGFV)などを通じた「隠れ債務」が含まれていない可能性があり、実際の中国の総債務残高(家計・非金融企業・政府の合計)は対GDP比で300%近く、あるいはそれを超えているという指摘もあります。
政府が公表する債務は、確かにそれだけ見ればGDP比80%圏内の債務より少ないじゃないかという人もいますが、それは中国政府の創作を信じすぎています。中国の統計データは良くも悪くも8割位が政治的妄想から作られるものなのです。
そして中国債務にも政治的妄想から作られた創作と同様なことが言えます。地方融資平台を含めた中国国家全体の債務規模が本当はあまりにも大きく、事実が周知されれば世界経済を崩壊させかねない超巨大爆弾にまで成長している可能性があります。
中国という国家は中央政府だけではありません。地方政府の影の融資機関である地方融資平台、無数の国有企業、不動産開発業者を救うために立ち上げられた政府系ファンド、理財商品信託といったシャドウバンキング、その全てが絡み合い国家全体で粉飾決算を繰り返しているのが実態です。
中国経済と通常の民主主義国家経済と違いは、共産主義国家であることです。資本主義国家で言う純粋な民間部門は存在せずに国家の一部として運用されているから、国家戦略に合致していればいくら赤字でも存続するし、権力者の利権構造に合致していても存続する。
つまり経済的合理性を欠いても、いくら赤字が積み上がったとしても倒産させないと言うことです。
だから国有企業でなくても、中国共産党の幹部が関わっている事業だから、国策で進めている事業だから、中国政府が責任を負ざるを得ないから最後は救ってくれるだろうと安易に投資してします。その結果として膨大な債務が積み重なっているのです。
中国の国家債務を定義すると
では実態的な国家債務とは、どこまでの範疇を示すのかを分類してみましょう。
①中央政府の債務
中国の公式発表によると、中央政府の債務残高は2024年に4兆7,364億ドル(約744兆円)を記録しました。これは主に国債によるものです。
②地方政府の債務
地方政府の公式債務残高は、 2023年末時点で40兆元(約825兆円)と発表されていますが、これ以外に「隠れ債務」があることは世界の常識となっています。
IMFの試算によると、地方政府の「隠れ債務」は2024年時点で約65兆元(約1300兆円)に達するとの見方もあります。その多くが地方融資平台(LGFV)の債務です。
地方融資平台(LGFV)とは、地方政府がインフラ投資などの資金を調達するために設立した政府系投資会社のことで、地方政府が直接借入れできない「抜け穴」として設立され、銀行融資や債券発行で資金を集め事業を行う組織です。本来は企業債務ですが、実質的に地方政府が保証する「隠れ債務」とみなされています。
しかも問題は利払い能力で収益事業からのキャッシュフローでは返せない。頼みは土地売却収入です。ところが今中国の土地市場は冷え切っています。
③国有企業(SOE)の鉄道・電力・石油・不動産・バイオテクノロジー・人工知能等の債務
国有企業(SOE)は表向きは企業ですから政府債務の対象とはなりませんが、現実には鉄道、電力、ガス、石炭、航空、不動産、バイオテクノロジー、人工知能等の国家政策のために赤字を垂れ流しながら無理やり動かされている存在です。
中国鉄道グループ負債は、すでに6兆2000億元と見られます。このたった数社で中国GDP5%にも達する巨大債務で、日本円で約130兆円と冗談みたいな数字です。運用・保守面も赤字で返せる見込みはありません。
他の国有企業(SOE)も同様で、電力会社や都市開発公社は赤字を垂れ流し、結果その赤字は銀行からの有資で埋められ続けています。
④政策性銀行である中国開発銀行、農業発展銀行、輸出入銀行の不良債権
⑤産業育成ファンド政府主導で設立された特別基金の赤字
⑥シャドウバンキング理財商品信託から資金を供給する影の金融負債
これら①から⑥の債務が、ほぼ全て国家が責任を負わなくてはならない債務だと思われます。
そして最大の不安要因として、中国の対外債務があります。中国国家外貨管理局の統計によれば中国の対外債務残高は約2.45兆ドル、人民元で約17.6兆円。そのうち満期1年以内の短期債務が約58%を占めており外貨借入れリスクが高い構成となっています。ドル債は人民元と違って印刷できません。ドル金利が高止まりする限りじわじわ効いてきます。
数字だけ見れば中国の国力から耐えられそうですが、問題は流動性です。外貨はコントロールできないし、資本逃避が加速すれば外貨準備もあっという間に消耗します。
これ以外にも「隠れ債務」として国、地方、民間と呼ばれる組織において膨大は負債が存在する可能性がありますが、たぶん政府官僚でも全体の国家債務は把握できていません。何故なら中国の統計データが信用できないし、粉飾決算が当たり前の社会だからです。
だから世界の中国専門家や経済学者は、実際の「隠れ債務」も含めると中国政府債務は総額で約3000~4000兆円と発信していることも嘘ではないように思われます。
そして、その根拠として取り上げられているのが、地方財源として活用された地方融資平台(LGFV)の債務です。
隠れ債務の大半は地方融資平台ではないのか?
地方融資平台の仕組みは、地方政府が資本金や土地等を有資プラットフォームに出すと、それに対して、国の保険会社や金融機関などが融資を提供し、それをインフラ開発等に使うわけです。
このインフラ開発が上手くいけば問題ないわけです。しかし、ほとんどのインフラ開発は上手くいっていないく不動産デベロップメントも負債を抱え資金が回らなくなります。この仕組みで、資金を年利5~6%の金利で成り立っていますから、金利が払えないという状況になりデフォルトしてしまうのです。
なのでデフォルト回避のために同じプラットフォームの中でいくつもの債権が発行され、支払いのための支払をするために、新たな借金が行われてきました。
その結果として、地方融資平台の債務がどんどん膨れ上がっていったというのが、今までの大きな流れになるわけです。その前提には中国政府は、地方政府による地方債の発行に制限をかけていた。このため地方政府は自力の財源を見つけるために、地方債を発行でき ないので地方融資平台という、一種の第3セクターみたいなものを作って、そこでお金を集めていたわけです。
これが妨害債務という形でもあるわけです。「妨害債務」とは、債務者が債権者への返済や債権の実現を妨げる目的で行う行為(財産隠し、仮装譲渡など)や、それに関連する犯罪・法的問題を指し、具体的には「強制執行妨害目的財産損壊等罪」(刑法96条の2)や民事の「詐害行為」として処罰・取消の対象となり、債権回収を困難にします。
この部分が今まで大きく報じられてこなかった。しかし2020年あたりから地方融資平台の問題が出てきてるわけです。中央政府が地方政府へ中止するよう指導し始めたのが、今年に入ってからとなります。
その結果として地方政府としては、もう資金がないという状態で地方融資平台の破綻が始まっています。また地方融資平台などを採用し利用した形で、不動産開発を行ってきた国有デベロッパー、地方政府系デベロッパーの破綻も始まっています。
具体例としては、万科という深圳の地下鉄がベースになる不動産デベロッパーで開発業者なんですが、今までいろんな企業や不動産開発業者の破綻やそして大幅赤字などが報じられてきましたが、 これらはみんな民間だったわけです。
ところが民間セクターから今度は国有セクターに広がってしまいました。いわゆる国有企業系デベロッパーが破綻を中央政府が容認したということになると、他の地方系政府のデベロッパーにも連鎖していく、国有セクターのいわゆる暗黙の保証と言われた期待が一気に壊れ、新規の資金調達ができなくなり、破綻が激化していくということになります。
万科は元々は民間企業に近い形でしたが、現在は筆頭株主が深圳市(広東省)の国有企業である「深圳地鉄集団(深圳地鉄)」であり、事実上、国(地方政府)の強い影響下にある国有企業又は国有資本が入り込んだ企業として扱われています。
この問題では、まずは万科は15日の償還がうまくいきませんでした。19日が週末ということになりますので18日にラストチャンスがあり償還が行われば、デフォルトを避けることができますが、その後にも何百億円単位の償還が待っていますので簡単に片付く問題ではありません。
すでに深圳の地下鉄公団が、7000億円の債務保障をしていても、その状況でもつなぎ資金が手に入らない状態に不動産デベロッパーがなっているということです。
地方融資平台が作り出した負の連鎖が始まっています。2021年をピーィクに土地売却収入は急減、土地を売って借金を返すモデルが崩壊し始めている。さらに地方融資平台(LGFV)の債務の多くは、銀行の貸し出し新託理財経由の短期資金市場での市債です。こうした短期高金利のミックスを端的に言うと氷が溶けているみたいな危うい借金なんです。
まとめ:中国経済の崩壊で始まる新たな中国
どこまで本当なのか分からない中国の国家債務は、中国経済を衰退・低迷させる原動力になっています。経済を支えていた不動産投資が大幅に低下した影響により不動産価格が低下し地方融資平台モデルが破綻したからです。
今までは国有企業でなくても、中国共産党の幹部が関わっている事業だから、国策で進めている事業だから、最後は中国政府が救ってくれるだろうと安易に投資していた案件が、何の救いもなく倒産すると誰も中国政府を信用しなくなり投資もしません。
外資も同様で、投資以前に不安定で大不況の中国からの撤退を検討するでしょう。
これからの中国経済は膨大な国家債務によって停滞し、最終的には崩壊に向かいます。
2000年代の中国経済の大発展を賛美する人々は、スマートシティ化した武漢などの例に上げて中国の科学技術が世界の最先端と自慢しています。
しかし中国経済の発展は、前回ブログ「本当の中国とはどんな国家なのか?」で示したとおり、アメリカ闇側によるシリコンバレーの最先端技術の無償提供とドイツ銀行から流れた闇側資金によるものです。
どんな高度な技術であっても、社会インフラに利用するのであればキャッシュフローで返済及び運用するモデルでなければなりません。キャッシュフローで返済するモデルとは、事業が生み出す「キャッシュフロー」や「フリーキャッシュフロー(FCF)」を返済の原資とし、元本と利息を計画的に返済していく仕組みを指します。
中国経済は一度破綻しないといけません。破綻することで中国共産党の正当性を無効にして現在の指導層を全て排除しないならない。何故なら中国共産党は、ただの利権集団だからです。国のこと、国民のことなど考えていない。だから江沢民政権の時に安易にアメリカ戦争屋と手を組んだ存在なのです。
中国経済が破綻すると、国内は混乱して多く国民は露頭に迷うかもしれませんが、習近平派はトランプ大統領とプーチン大統領と連携して、アメリカ戦争屋と江沢民派に対抗する存在です。
だから崩壊後の中国から、必ず新しい指導者が生まれきます。その時に初めて中国の再生が始まります。


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