EMを利用した複合型農業の経験談を語る①

EM技術

2024年1月29日更新

私がEMと関わったのが2001年からで、そこからEMにのめり込み、最後は職場であった障害者福祉施設の新規事業として「福祉的就労の場」を目的とした新規事業所の立ち上げまでに至ります。

その新規事業はEM技術を利用した合鴨・有機野菜事業を組み合わせた複合型農業です。

最後にこの事業以外にレストラン事業も加わります。

今回は、この経過を連載で語らせていただきます。

連載の始めてとして、今回はEMとの出会いと家庭菜園での実践結果を説明します。

▼EMについて知りたい所から読む方はこちら▼

EMを知ったキッカケとは

私の職場では食品加工を行っていた関係上、食品衛生管理者が必ず必要です。

ところが、2001年に有資格者がいなくなり職場内で誰か取得しなくてはならない状況になりました。

当時、担当係であった自分が取得しなくてはならないことになり東京へ48日間受講することになります。

そこで微生物学を学び有用菌の利用に興味を持つことになります。

日大の助教授の方が担当された微生物学の講義は、当然に食中毒がらみの内容が中心になります。しかし、時々ヤクルトが何故一部企業になれたか等、雑談の中に有用菌の話が出てくるのです。自分としては不思議でなりませんでした。今まで常識とされていることを否定するような内容なのです。

たとえば手洗いの方法とし次の2つの方法があります。

①最初に水で洗い流した後に石鹸をつけて洗った場合
②最初から石鹸をつけて洗った場合
 

では手に残る細菌数はどちらが多いでしょうか?

世の常識では①方法の方が最初に水で洗い流した分、細菌数は少なくなるはずですが、実際は②の方が少なくなります。何故でしょか、皆さん考えてみて下さい。

これは微生物学の実習時に各グループが実験した結果ですので間違いはないと思います。

理由は最初に水で洗い流すと手の毛穴に住んでいる皮膚を守っている菌が毛穴から出てくるので菌数としては多くなるのです。

細菌学ではこの菌も培養時には一般雑菌として不潔とか菌管理ができないと評価されます。

この実験を指示した助教授はこのような実験させて何を示したかったのでしょう?

今思うにはこの助教授は現在の微生物学に否定的な見解を持っていたのかもしれませんね。

思い立ったらすぐに行動するのが自分で講義が終われば全て自分の時間、有用菌関連の本を探し読みあさり、また、インターネットで検索・・・の毎日を過ごしました。そしたらEMに当たってしまったということなのです。

何か宗教くさく不気味な気もしましたが技術は公開されていて金もかからない(自家生産すれば)となればやってみるしかないでしょう。

早速にEMボカシとEM活性液の製造に挑戦します

資格取得後に地元に戻り、早速、本とインターネットで得たEMの知識を実験してみました。

まず最初は、EM資材である「EMボカシ」と「EM活性液」の自家製造です。

EMボカシは、米ぬかをEM菌で発酵させた資材で生ゴミ処理や有機栽培の基肥をして使用する資材です。

EM活性液は、EM原液を拡大培養させて活性化させ効果を高める資材です。なお、コスト削減も目的とします。

有機栽培時の灌水や悪臭対策に使用する際に原液だとEM菌自体が寝ている状態なので効果でるまでに時間がかかります。EM活性液として拡大培養を図れば活性状態なのですぐに効果がでるため、通常は原液ではなくEM活性液を使用することになります。

EMボカシとEM活性液を製造することは製造マニュアルに従えば簡単にできました。

ただし、経験を積むうちに疑問点がでてきます。同じ時期に仕込んだのに発酵時期がずれる、発酵の勢いが違う等です。試行錯誤とEMの先駆者である人達の指導を受けた結果、その原因が理解できたのです。

EMは生き物で、原液によっても保存状態が違うし、米ぬか等の原料にも微生物がいるために、その力関係によってマニュアル道理にはならないのです。

たとえば、米ぬかが長期に渡り雑菌に汚染されている場合はEMより勢いがあるので、すぐにはEMは動けなくなります。また、その逆もあって長く使用している発酵容器にはEM自体が定着している場合があります。その場合は発酵が早まるわけです。

EMを主要業務の主体にしょうと考えた自分にとっては業務に使用する資材が予定とおり製造できることが重要で不安定では困るとの思いがあり、より敏感となって探求したのです。

これで安定して製造するためには、その時のEM原液や米ぬか等の原材料の状態を見極めていく感性を磨いていかないとEMボカシ・活性液を安定して製造ができないが解りました。

EMボカシ・活性液製造で失敗する人の話を聞くと、確かにマニュアルに従っているのですが、原材料購入先が一定していないや管理温度調整ができていないことが多く、その際にはそれならEM原液を若干増やせばとか管理温度を上げればとアドバイスすれば解決することがありました。

ただし、また環境が変われば同様な問題が起きます。たとえで言えば犬を飼っていれば機嫌により犬の行動は変わり一律ではありませんが、飼主はその状態を感じて対応しているはずです。

EMも生き物である以上は、同様に考えて対応しなくてはならないのです。

家庭菜園で実験してみる

次に実際に家庭菜園で有機栽培を実践してみました。

今まで土と無縁で経験・知識もない私がです。

なんと結果は思っていた以上の結果が、次のとおり得られたのです。

①1週間で生ゴミが堆肥化する。
家庭内の生ゴミにEMボカシを添付し生ゴミ処理バケツに保管すると、1週間で生ゴミが発酵します。その発酵した生ゴミを土中に埋め込むと1週間で分解され土に戻ります。

このことは、合鴨屠殺時に出る生の廃棄物処理を行った経験からは異常な結果だったのです。

②畑の土壌改良があっという間にできます。
本来、土壌改良には良質な堆肥、ゼオライト、泥炭等の資材が必要でお金とで時間がかかるのが常識です。EM情報を信じてEMボカシとEM生ゴミ堆肥だけで行ってみました。

結果は1年後に出ました。粘土土壌で固く農業ポールを指すにも一苦労であった土壌が改善され柔らかで保水性のある土壌に変化しました。

これは最初にEM生ゴミ堆肥を多量に入れた結果ではないかと思います。

③1年目から有機栽培に成功する。
野菜栽培の知識も経験ないのに、何の苦労せずに1年目で成功しました。収穫量も普通だったと思います。ただ徹底していたのが畑内のEM密度を上げる努力だけです。

④使用した資材はEMボカシとEM活性液だけでお金は掛からない。
EMボカシとEM活性液は自家資材なのでコストは安いものです。堆肥はEM生ゴミ堆肥なのでほぼコストは掛かっていません。

⑤家庭や家庭菜園から出る生ゴミは全て畑内で堆肥化するので、生ゴミが出ません。
全てEM生ゴミ堆肥にして畑に還元するので、生ゴミは大切な資材になりました。

⑥お風呂の取れない黒カビが時間は掛かったが洗浄できた。
家庭内でも実験しました。風呂掃除で試してみて黒カビに挑戦しました。

すぐに結果は出ませんでしたが、半年以上経過すると何故か不思議に黒カビか簡単に取れるようになりました。

この結果を受けて自信持って職場でのEM利用に取り組むことになります。

まとめ:知識だけでは解らないことが現場にはあります

最初から順調に進んだEMの実験ですが、その要因の一つがEMボカシやEM活性液の製造ノウハウを極めたこととではなかったと思っています。

品質の高いEMボカシやEM活性液を使い、量もケチらず使用した結果が成功を導いたのでしょう。

だからEMボカシやEM活性液の製造は極めてもらいたいと思ってます。自家製造しないなら品質の高いEMボカシやEM活性液を提供してくる業者を選択することが大切です。

EMは生き物ですから、安定してEMボカシ・活性液を製造するには経験と感性が必要です。

長年に渡り清酒等の発酵食品を製造している企業に、何らかの拘りがあるのは、その地域や環境に適したノウハウがあるからです。

確かにマニュアルに従えばEMボカシやEM活性液は出来上がるのですが、EMが生き物である以上は原液の状態や地域の風土や製造場所の環境に依存するために安定して製造するために感性を磨いて独自のマニュアルを完成させないと安定した製造が出来なくなり必要な作業時に量が足りない等の問題を起こすことがあります。

EMを利用した事業を計画するならば、一番重要なことは安定した製造技術を身につけること又は信頼できる提供業者を選択することではないかと思います。

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