EMを利用した複合型農業の経験談を語る⑥

EM技術

2024年2月3日更新

私がEMと関わったのが2001年からで、そこからEMにのめり込み、最後は職場であった障害者福祉施設の新規事業として「福祉的就労の場」を目的とした新規事業所の立ち上げまでに至ります。

その新規事業はEM技術を利用した合鴨・有機野菜事業を組み合わせた複合型農業です。

最後にこの事業以外にレストラン事業も加わります。

今回は、この経過を連載で語らせていただきます。

連載の六回目は、育苗用土の製造方法と大量生産について説明させていただきます。大量生産する機械や設備がなくても創意工夫で生産出来ることを理解していただきます。

▼EMについて知りたい所から読む方はこちら▼

有機栽培開始後も花・野菜苗の販売は継続する

有機栽培は元々、慣行農法で農産物を生産していたものを有機栽培に切り替えた事業ですが、併せて花・野菜苗の販売を地元中心に行っていました。

当然、地元での事業なので苗販売は継続しました。

その際に問題となっていたのが、育苗用土で自家製造は何故か失敗するので、仕方なく購入していた経過がありました。

大量に有機用資材として育苗用土を生産する

有機栽培では市販の育苗用土は使用できなく有機資材の育苗用土でなくてはなりません。

購入してもいいのですが、苗販売で使用する量が半端ではなく経費負担も大きので、この際に併せて有機資材として育苗用土を製造することに決めたのです。

最初はEM関連の情報をあさり育苗用土マニュアルを見つけ、その仕様に従い製造しました。有機苗も販売用苗も使用して何の問題もなく終了しましたのです。

育苗用土の製造に関わり、次のことが解りました。

①多分、今まで育苗用土製造で失敗したのは原料としたオガクス堆肥に塩分が含まれていて塩基障害を起こしたためではないか。これは他の農場を見学してたときに得た情報からの推測によります。

オガクズの元となる木材が輸入である場合に、河川から海を通して運搬された場合に木材に塩分が染み込むために起きるそうです。

EMで処理した堆肥は、オガクズに塩分が含まれていたとしてもEMが分解するので心配はありません。

②マニュアルにある調整用資材(ゼオライト、燻炭等)はコストが高く、何とか軽減できないか実験してみた結果、調整用資材は貝化石でいいことが解りました。

最終的に育苗用土の原料は、次のとおりとなりました。
・ピートモース(洗浄したのでなく土のついた物)
・合鴨オガクズ堆肥
・EMボカシ
・貝化石(PH調整のため必要)

③「原料にEMボカシを使用すること」と「製造後に踏み硬め温度をかけて最低3ヶ月以上寝かせること」で、ほとんどの問題が解決する。夏場に製造し寝かせ春に使用するのが理想である。

④育苗用土を寝かせる期間が短いとEMの乳酸菌が活動して悪さをする場合がある。心配なら使用前に育苗用土を軽く水で湿らせてから乾燥後に使用すればいい。

⑤製造方法は、次のとおりで特別な機械や施設は必要ありません。
・施設は原料搬入を重機で行えるよう入口が広いD型タイプが望ましい。
・撹拌する機械は一度に多量にできるよう家庭用除雪機を使用していた。
・製造工程は、次のとおりです。

最初に重機でピートモースと合鴨オガクズ堆肥を運び両方をD型に一直線に平らに重ね合わせた状態にします。
   ↓
そこに同じくEMボカシを撒き散らします。
   ↓
また、そこにEM活性液を100倍に希釈した水を散布して湿らせます。
   ↓
後は家庭用除雪機で一直線に進め重ね合わせた状態の原料を前へ飛ばし、それを繰り返して前方に山積み状態にすれば出来上がりです。
   ↓
ここで、踏み硬めないで山積み状態で1~3日置きます。
   ↓
これは踏み込まないことで、空気層ができてEMの中の好気性菌である乳酸菌が動き出して熱を発します。一度発熱させることで、次の分解が促進されるのです。
   ↓
発熱後に空気層がなくなるまで踏み硬めます。
   ↓
シートは掛けなくても問題はありません。最低3ヶ月は寝かせます。

育苗用土の水分量は20~25%で撹拌された状態で強く握り団子状で壊れなければ、その値です。また、水分は少なめより多めが望ましいです。

まとめ:育苗用土は寝かせるのがコツです

地域によっては必要となる原材料が手に入らなかったり高額だったりします。

経験上言えることは、地域にある資材を上手に使うです。

たとえば、マニュアルには腐葉土が記載されていて、当初は秋に枯れ葉を集め腐葉土を自家製造していました。枯れ葉を山積みにしてEM活性液を100倍に希釈して散布すれば1年間で出来上がりです。

ところが、有機栽培も本格化して繁忙になると枯れ葉を集める時間がなく地元にピートモース製造工場があり安く提供してもらえることになったので原料を腐葉土からピートモースに切り替えた経過があります。

これが都会なら集めた枯れ葉の処理に困っている自治体もありますので、逆に手間暇もかけずコストもかからないで手に入るかもしれません。自分達の地域を知れば代用となる資材があるのかも・・・

そして後はEMの力で必要な期間寝かせておけば、品質の高い育苗用土が出来上がるです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました