2024年2月4日更新
私がEMと関わったのが2001年からで、そこからEMにのめり込み、最後は職場であった障害者福祉施設の新規事業として「福祉的就労の場」を目的とした新規事業所の立ち上げまでに至ります。
その新規事業はEM技術を利用した合鴨・有機野菜事業を組み合わせた複合型農業です。
最後にこの事業以外にレストラン事業も加わります。
今回は、この経過を連載で語らせていただきます。
連載の七回目は、「EMが創り出す驚異の世界を体験した話」と「EMボカシの大量生産方法」を中心に展開します。
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2年目以降も有機栽培は順調に進行します
1年目で成功を収めた有機栽培は、販売を含め検討した結果、試験的に色々な品種を試すための栽培を実施しました。
北海道の中でも寒冷地である地域に適した作物は何かを模索したのです。
EMが創り出す驚異の世界を体験する
2年目にナス栽培でEMが創り出す驚異の世界を体験することになります。
驚異の体験とは、職員のミスで日が落ちる前にハウスを閉めてしまい高温障害で生育中のナスが枯れてしまったのです。
生育中とはいえあと少しで実をつける段階まで成長しているので悩み、いつも相談しているEM販売の方に相談したら、根が大丈夫なら復活しますよとの返答で復活方法を伝授いただきました。
復活方法は2週間の間は灌水をやめてEM2号(光合成菌)とEM3号(酵母菌)を100倍に水で希釈して葉(葉は枯れてありませんが)にかけて様子を見るとです。
早速に実行しました。
不安でしたが、1週間後位から復活が始まり葉っぱ再生してきたのです。2週間目に完全復活です。
収穫時期は1週間程度を遅れましたが、その後は通常とおり収穫し販売まで完了したのです。
植物は根に被害がないなら復活するそうです。復活を促進するために光合成菌の抗酸化力を借りますが、光合成菌は嫌気性の菌なので通常の状態では力を発揮することは出来ません。
それを解消するために酵母菌を同時に添加して光合成菌と酵母菌の共生関係を利用することで最大限に光合成菌が働くことが出来るのです。
ただし条件があって根の発達が健全であることで、慣行栽培で化学肥料の力で栽培された作物は根が十分に発達していないので難しそうです。
数年後に遅霜でハウス内のミニトマトが枯れた時も、同様な方法で復活させました。
この2つの経験で、EMを利用すれば恐れることはないとの心境になりました。
露地栽培では基肥となるEMボカシの生産方法が課題に
露地栽培でEMを利用する際に問題となるのが、多量のEMボカシ生産です。トン単位になるので当然です。
トン単位でEMボカシを製造できる機械と発酵のための大型保温設備を持っていないと無理なのです。
ところが、機械や施設がなくても簡易にEMボカシを製造できる方法がありますので、紹介します。
先に説明した「育苗用土の製造工程」とほぼ同様となります。
大量生産する露地栽培用のEMボカシも原料は全て同じで、次のとおりです。
・米ぬか
・ふすま
・EM活性液(品質が悪いと失敗します。)
製造方法は、次のとおりで特別な機械や施設は必要ありません。
・施設は原料搬入を重機で行えるよう入口が広いD型タイプが望ましい。
・撹拌する機械は一度に多量にできるよう家庭用除雪機を使用していた。
・工程は、次のとおりです。
最初に重機で米ぬかとふすまを運び両方をD型内に原料である米ぬかとふすまを一直線に平らに重ね合わせた状態にします。
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そこにEM活性液を100倍に希釈した水を散布して湿らせます。
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後は家庭用除雪機で一直線に進め重ね合わせた状態の原料を前へ飛ばし、それを繰り返して前方に山積み状態にすれば出来上がりです。
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ここで、踏み硬めないで山積み状態で1~3日置きます。
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これは踏み込まないことで、空気層ができてEMの中の好気性菌である乳酸菌が動き出して熱を発します。一度発熱させることで、次の発酵が促進されるのです。
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発熱後に空気層がなくなるまで踏み硬めます。
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浮遊している雑菌防御のためにシートを掛けて空気層が出来ないように密閉します。最低1週間で出来上がります。なるべく長く置いたほうがいいです。
EMボカシの水分量は20~25%で撹拌された状態で強く握り団子状で壊れなければ、その値です。
また、水分少なめより多めが望ましいです。
温度にもよりますが1~2週間で、甘酸っぱいアミノ酸臭がすれば完成です。
留意点は、次のとおりです。
①保温施設がない状態で発酵させるには、EM活性液の品質がポイントとなります。
外気温度等の条件にもよりますが、発酵が促進しないならEM活性液の希釈倍率を100倍から50倍にするなどの工夫が必要です。
②密閉容器を使用しないので、水分は温度によってはかなり飛ぶ可能性があるので、多めでも問題はありません。
③季節的に春に製造することが多いと思いますが、冬や低温が続くと十分に発酵しないこともあるでしょう。その場合は時間をかけるしかありません。
④空気に触れる部分はカビが発生することがありますが、畑用なので心配はありません。
⑤どうしても発酵期間・温度が足りなく未発酵状態かもしれません。その場合に畑に施工した際に、まだ乳酸菌が働いていて作物の根を痛めることがあります。心配なら施工後に根ごと雑草を引き抜いて、その畑に定植して様子を見る方法があります。
もし枯れるなり、元気がないなら1週間ほど置いてから定植すれば問題はありません。
まとめ:自然の修復能力は思っている以上です
現場で、枯れかけた作物がEMで復活する経験は驚きとしか表現できませんでした。
植物は、もしかして動物も最適な環境さえ整えれば復活又は修復する能力が備わっいるのかもしれません。
植物の場合は、根さえ健全に発育すればの話ですが?
そのための技法が昔の自然農法にありますので、紹介します。
その技法は、種や苗を定植時には肥料は少なめにします。根の発育時に肥料分が多いと根は自分が働かなくても肥料分があるので働かなくなり根の発育が不十分になるのです。
実際に私達がやっていた方法は、苗の場合で定植後に根が活着するまでは十分に水をやり葉が青々としてきたら、根が活着した合図なので1週間前後は最低限の水しか灌水しません。この期間に根の発育を促進させるのです。これ以後は普通に灌水をします。
有機栽培又は自然栽培の発育は最初は遅く心配となりますが、最後にその遅れを取り戻すくらい早まるそうです。根を健全に発育させるのに時間は掛かるが、その後の成長は促進するのでしょう。
EMボカシの大量生産は密閉容器を使用しない外気温だよりの方法なので、EM活性液の品質と倍率がカギをにぎります。
私の経験では3日程度でも十分に発酵した例もあります。自分の経験を信じて外気温度等を予想しEM活性液の倍率や発酵期間を決めれるようにならなければ、有機農業のプロとは言えません。
自分の感性を磨く努力が必要です。
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