2024年2月5日更新
私がEMと関わったのが2001年からで、そこからEMにのめり込み、最後は職場であった障害者福祉施設の新規事業として「福祉的就労の場」を目的とした新規事業所の立ち上げまでに至ります。
その新規事業はEM技術を利用した合鴨・有機野菜事業を組み合わせた複合型農業です。
最後にこの事業以外にレストラン事業も加わります。
今回は、この経過を連載で語らせていただきます。
連載の八回目は、有機栽培開始して念願の限界突破を経験します。最初は何が起きているのか判断がつかず、これが普通なのかのと思っていました。
ところが他の農家を見学したり話をしていると解ったのです。あの時は間違いなく限界突破起きていいたことを、今回はその経験をお話します。
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限界突破は貴重な体験です
有機栽培3年目となりここで貴重な体験をします。
それが限界突破だったのです。
限界突破とは、その植物の生産能力が最大限に拡大することで、果菜類のトマト、ナス、ピーマン等で通常ではありえないような実をつけることです。
例としてミニトマトは収穫時に一房に20~30粒のミニトマトがなるのが普通です。ところが限界突破すると一房に200~300粒のミニトマトが収穫出来ます。
最初はナス栽培での経験です。収穫時期となり明日は休日なので少し小さいサイズまで収穫して休日の作業負担を軽減させようと無理して収穫しても、次の日には、また同様な位に収穫出来てしまいます。
本格的なナス栽培が始めてなこともあり、こういうものなのかと思っていたのですが、葉や茎の勢いが強く剪定しても追いつかない状況だったのです。
他農家のナス栽培現場を見学して解ったのです。うちが異常な状態だったのです。
次がミニトマトです。限界突破は知識として知っていて、一房に200~300粒のミニトマトがなっている写真を見て自分達には関係のない話ではと思っていたのが、自分達のハスウで体験できたのです。
その上に葉や茎の成長に勢いがあり剪定も追いつかず茂り支柱やネットがその重さに耐えきれなくなり倒れかかる状態までなってしましいました。
恐ろしいかな限界突破ですね。
最後がキュウリ栽培です。キュウリ栽培ではアーチ支柱にネットを張っての栽培方法を選択してました。内と外から収穫できるからです。ところが葉や茎の勢いが強く剪定を怠ると内側が葉と茎で封鎖されてしまいます。思い切って余分でない葉や茎を剪定しても、次の日には封鎖状態に戻ります。最後は諦めまいした。
収穫量も半端ではなく取り残しが多くなり、取り残したキュウリはこん棒の大きさになったり小さいので明日に収穫しようとしたら規格外になっていたりして無駄が多くなりました。
次年の栽培計画作成時には、職員からキュウリ栽培だけはやめましょうとの意見が多数になり、この年が最後でキュウリ栽培は終了となりました。
限界突破で収穫量が増えることは嬉しいことですが、販売先や収穫・剪定等の作業量が増えるのでそこまで考えて計画を立てていないと負担となり、嬉しさが半分になってしまいます。
EM生ゴミ堆肥の威力
この限界突破の力はどこからきているのでしょうか?
限界突破の解明については、以前に記載した「EMが創り出す限界突破とは」で私なりの見解を述べました。
そこでの理屈は、土壌が醗酵型土壌になり、根が健全に発達すれば豆類と同様な作用で根に菌根菌が定着し有機物を直接吸い上げるので植物は硝酸態窒素をアミノ酸に変換しなくてよくなり葉や茎が勢いを増すうえに実も多量に生産できる状態になるとの理屈で限界突破の説明が付きます。
土壌はEM密度が上がることで醗酵型土壌まで持っていくことは可能ですが、根が直接に吸い上げるアミノ酸や有機酸はどこから提供されていたのでしょうか。
それはEMが造り出す代謝産物もありますが、EM生ゴミ堆肥ではないかと思っています。
EM生ゴミ堆肥は、有機物がそのまま高分子から低分子となり土壌菌が分解しやすい状態を造り出すので、有機物が分解してアミノ酸状態となるからです。
本当に根が直接アミノ酸や有機酸を吸い上げるならEM生ゴミ堆肥はより有効な養分である言えるのではないでしょうか。
まとめ:限界突破を栽培方法に取り入れるには
さて、最後に限界突破を前提とした有機栽培の可能性を検討してみましょう。
ここでは、果菜類の限界突破を前提とするためハウス栽培での見解となります。
限界突破は、全ての条件である土壌が「醗酵型土壌であること」と「アミノ酸や有機酸が常に提供できる堆肥等」が前提となります。
醗酵型土壌はEM密度を上げることで可能ですが、アミノ酸等の栄養素はどのように提供するがが問題となります。
EM生ゴミ堆肥を施工するには、まずは生ゴミの発酵から始まり地中へ埋め込み土に戻るまでの時間が掛かります。年間栽培のハウスで三作を行うのであれば、栽培中にEM生ゴミ堆肥を施工する工程を入れるには無理があります。
しかし、解決方法があります。それはハウス内にEM未処理の生ゴミでもいいので直接に散布した後にEMボカシを散布してから耕耘します。生ゴミの分解を促進するためにハウスを閉め切りハウス内温度を上げて1週間程度置いてから次の作付けへ移ります。
この方法では未分解の生ゴミが残る可能性がありますが、心配はいりません。
醗酵型土壌では未分解の生ゴミが腐敗して硫化水素が発生し苗の根を痛めるという慣行農法である現象が起きないからです。たとえ未分解の生ゴミがあっても苗は普通に成長することは、経験済みなので自信を持って言えます。
これ以外にも限界突破を前提とした場合に検討しなくてならないことがあります。
マニュアルでは解決できないので、自分達の栽培方法を確立するしかありません。
検討課題は、次のとおりです。
①葉や茎の成長が増し繁ってしまうために畝・株間を広げる等の検討。
②葉や茎の剪定をどうするか。
・ナス・ピーマンは剪定を諦め縦に網を張って倒れなくしていた。
・ミニトマトは4本立てして上に伸びる茎を途中で剪定する。
③収穫は、成長早い時期だけ朝と夕の2回にする。
限界突破と言う現代農業では再現できない環境を上手く利用して収穫量の倍増と作業効率化を図るにはその環境に合った栽培方法を確立させなければなりません。
そのためには考えなくてはなりません。
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