EMを利用した複合型農業の経験談を語る⑬

EM技術

2024年2月10日更新

私がEMと関わったのが2001年からで、そこからEMにのめり込み、最後は職場であった障害者福祉施設の新規事業として「福祉的就労の場」を目的とした新規事業所の立ち上げまでに至ります。

その新規事業はEM技術を利用した合鴨・有機野菜事業を組み合わせた複合型農業です。

最後にこの事業以外にレストラン事業も加わります。

今回は、この経過を連載で語らせていただきます。

連載の最終回となります。長きに渡り付き合ってくれた方には感謝を申し上げます。
最後は私が経験したEM利用による複合型農業をどう発展させたら、今の農業を魅力的な産業できるかを検証させていただきます。

▼EMについて知りたい所から読む方はこちら▼

EM利用による有機栽培を経験して

私達が経験したEM利用による有機栽培は、今までの連載のとおり特に大きな問題もなく順調に推移しました。

これは事前にEMの知識・試験を重ね準備した結果と1年間あった準備期間で土壌改良を行ったからだと思っています。

そして有機栽培に挑戦し色々な経験して解ったことがあります。

農業の基礎はやはり土壌なのです。

次に地域特性・資源を見直すことで、それによりEM利用の形態も変わってくるからです。

最後に栽培作物の特性を知ることです。

それでは順番に説明させていただきます。

土壌改良にはEMを利用し醗酵型土壌へ

先に説明した微生物の機能からみた土壌の分類では土壌が醗酵型土壌又は合成型土壌になってしまえば、後は定期的に生の有機物を加えていれば害虫・病気に悩まされることもなく、安定した収量を確保できます。

そのためにはEMの密度を上げる努力が必要です。ハウス移動により最悪土壌における栽培では、より以上に気を使いましが、土壌が醗酵型土壌になってからは特に気をつけることがなくなったことが証明しています。

これは、醗酵型土壌となると微生物間の共生関係が強硬になるからでしょう。

ハウス内での剪定等で出た有機物も草マルチで敷いた草も時間共に分解されなくなるし捨てた実は白カビが生えて分解となりました。露地栽培でEMボカシを撒いて耕耘すれば白カビ発生しすき込んだ雑草もすぐに分解します。

このような状態になるとハウスでは、EM処理していない生ゴミを直接、ハウスに散布してその後にEMボカシを散布後に耕耘してハウスを閉め切り温度を上げておけば、1週間前後で生ゴミは分解され定植することができます。

後は自分達が調達できる有機物を探せばいいのです。

土壌がこの状態になれば余分な経費もかからずに手間暇もかからなくなるのです。

それを農薬・化学肥料で土壌の微生物層を破壊することで自然の仕組みが働かなくなり害虫・病気に悩まされ、より以上に農薬・化学肥料に頼らざるを得ない結果となるのでしょう。

地域の有機物を活用する

私達の事業所では合鴨事業は主力事業で展開していました。有機栽培に参入前は屠殺時に出る産廃処理に時間と経費をかけていたのですが、有機栽培を行うことになり産廃で処理に困っていたものがEMオガクズ堆肥という有機資材となったのです。

これは両事業を組み合わせたことによる効果で、人は、不要になったものをゴミと呼びますが、創意工夫により有効な資材となる事例です。

多分、皆さんの地域にもゴミと呼ばれるもので有効に活用できる資材があるはずです。

たとえば、都会では「枯れ葉」や「草刈り後の草」等の処理に困っているはずで、引き取りたいと要請をかければ、喜んで運んできてくれるはずです。

地域内を探せば、必ずあるはずでなので有効活用しましょう。EMを利用すれば手間暇もかからずに簡単に処理できるからです。

大量生産大量消費の時代だから当然なことと捉えがちですが、そのゴミを再利用することで環境問題が解決しコスト削減につながるならゴミはゴミでなくなるのです。

作物の出身地を知ることが必要です

当初は販売に苦労したこともあり、この野菜は「話題性がある」とか」「高く売れる」等の目先で試験栽培に取り組むうちに、結局いきついた結論は地域の気候・風土に適した農産物に特化することがいいとなりました。

また、栽培する作物についてもよく知らなくてはなりません。私が一番重要視するのは出身地で、たとえばナスの原産地は東南アジアで亜熱帯地方の高温多湿を好む作物です。当然に寒暖差があればストレスとなり生理障害を起こす確率は高くなり、生理障害を起こせば害虫・病気の発生につながります。

つまりEMで回りの環境は健全なので後は栽培品目の出身地等の特性に沿った栽培方法をとって健康な状態を保てばいいだけではないでしょうか。

有機農家先輩の助言や実践していくなかで実感したことで、昔からこの地域の特産は〇〇というのがあります。これはその地域の条件が適しているからで、目先にとらわれず自分達が住んでいる地域の良さを再確認することが大切です。

そうすれば、必然的に栽培作物が決まり地域の気候・風土に適しているので、トラブル発生も少なくなることを理解したのです。

ハウス栽培では限界突破と年間栽培を目指す

ここではハウス栽培について、私の見解を述べさせていただきます。

それは可能性を感じるからで、その可能性はサラリーマン農業です。

有機農業で言う大変な作業は土壌改良や堆肥作り等ですが、EM利用することで軽減できることは実証済みで、これを前提にハウス栽培での限界突破を経験し暖房無しでの年間栽培を経験すると、狭い農地であってもハウス栽培だけで採算を合わせことが可能ではないかと思えるようになります。

限界突破は生産性を拡大し、年間栽培は農作業の平均化を図ります。何と言ってもハウスだと気候の影響リスクが軽減化して安定した経営が可能になるのです。

そのための設備投資を考えると、降雪地であった地域性から鉄骨ハウスの必要性を感じます。除雪作業はその頻度より降ったらすぐに除雪しなくてはなりませんが、鉄骨ハウスであれば倒壊の心配がないので、後にしても問題はありません。

降雪地帯でないから必要ないとは思わないで下さい。投資という負担はありますが、頑丈なハウスは気象リスクを軽減するし作業効率を高めることは間違いがないからです。

また、温度管理等も今の技術を駆使すれば相当の作業軽減を図れるのではないかと思います。

まとめ:有機農業を夢のある職業へ

以上のことからEM利用しての有機栽培での栽培方法を簡単にまとめると、次のとおりとなります。

①EMの密度を上げることを最優先にして醗酵型土壌又は合成型土壌を目指す。
②栽培作物の特性に合わせた管理を心掛けて害虫・病気発生を抑える。
③使用資材はなるべく購入せず自家製造を心掛けて経費節減に務める。
④土壌改良についてはEMを利用してゴミと言われている地域の有機物を有効に活用する。


特に①の醗酵型土壌又は合成型土壌にすることは有機栽培を行う上での最優先課題となります。

有機栽培に関わった関係上、色々な方から情報をいただき食と健康の関係と現代農業の矛盾を理解してからは農業の社会的地位を高めないと思うことがあります。

それは食と健康が密接に関係があり、その認識を広めたいと思うからです。

どんなにお金があっても健康でなければ楽しくありません。病気になれば気分も明るくなれません。そして現代に病気が増えている原因は、食生活が大半と思いませんか?

その食を担う職業は、もっと重視されなくてはならず、その中でも有機栽培を行っている農家は尊敬される存在にならなくてはなりません。

有機野菜の美味しさは子供が一番解っています。ハウス見学でピーマン嫌いな子にうちのピーマンは苦くないから生で食べると一人の子が食べると興味を持って他の子も食べて素直にこのピーマン苦くないと言ってもらえます。またうちのミニトマトしか食べない子もいました。

大人は健康のためにと思い野菜を食べていますが、子供達は純粋に野菜の味を感じているのです。大人は子供の頃に感じていた気持ちを思い返す必要があります。

現在、地方では過疎化が進み地域が衰退する傾向にあります。

私も同様な経験をしてきて、私達が育んできたEM技術を中心に進めてきた有機農業及び循環型農業のノウハウが少しでも地域活性化につながらないかと思うようになり、行政側へ訴えプレゼンまで行いましたが、理解されずに挫折した経験をしています。

ハウスで三作ができれば農業の通年雇用にもつながるし、ハウス栽培であれば安定した収益も確保できます。

合鴨加工残滓や鶏糞などをEMで処理することで、家畜・家禽との組みあわせにより、自家資材での有機農業が可能になるのです。

このことを多くの「農業に関わる人達」や「地域活性化を模索している人達」に知ってもらい、理解していただき有機農業が夢のある仕事で地域活性化の一端を担う可能性があるとの認識が広まれば幸いだと思っております。

コメント

タイトルとURLをコピーしました